バチカン奇跡調査官『黒の学院』②~第1章まで解説~


早速、本文の解説をしていきます。第一巻は特に読みづらい巻ですので、

まず第一章からプロローグまでの流れをおさらいしましょう。


◇◇◇


プロローグ

プロローグ1

場所:平賀の家

・12月24日の大聖年を祝うため、バチカンのサンピエトロ大聖堂の周りは賑わっていた。

・大聖堂の近くにある平賀の家に、ロベルトは訪れる。

・バチカンが忙しいこの日、ロベルトは平賀を迎えに来たのだった。


プロローグ2

場所:メキシコ中西部の街、ドゥランゴの丘

・一人の使徒が、聖所を抜け出して墓地で泣いていた。

・その背後に誰かがやってきた。→使徒はそれを、聖所で祀られる主だと判断する。

・主は、信仰を忘れていることに罰を下すと告げる。

・主は、信仰に立ち返る機会を与えるとした。

・使途は、それを他言無用と告げられた


プロローグ3

場所:サンピエトロ大聖堂

・クリスマスに伴う、法王の祝福と説教


◇◇◇


第1章

第1章1

場所:平賀の家

・ロベルトが平賀の家を訪ねる。

・会話から、平賀の弟の良太が骨肉腫であることが判明。→シリーズで重要ポイント

・良太の治療費の支援をバチカンに求める(注釈1ルルドの奇跡)

・ロベルトから、サウロ大司教からの呼び出しを告げられる。

(注釈1)ルルドの奇跡

フランス南部のルルドという村に、聖母マリアが現われたという奇跡の逸話があり、そこに湧いた泉には難病を治癒する力があると言われる。


第1章2

場所:聖徒の座

・平賀の弟である良太の治療費を引き換えに、奇跡調査を依頼される。

・アンナ・ドロレスという修道女からの申請《謎1》

・奇跡の内容は、部屋の壁に、幼いキリストを抱える聖母像が浮かんだとも。《謎2》

・カトリック教会では、処女受胎は認めてはならない。(キリスト=救い主はイエスのみとする考えのため)

・この奇跡を認めるよう後押しする一派がいる。《謎3》

・列聖省長官のニコラス枢機卿は、今回の奇跡調査に、パウロ大司教を失脚させるような秘密がありとし、平賀に探らせたかった。

・パウロ大司教は金満体質で、ドミニコ会を腐敗させた人間の一人ともされており、このまま順当に出世することを、ニコラス枢機卿は警戒していた。

・パウロ大司教が見込みをもって昇進させた、アントニウス司祭が自殺していた。→カトリックでは自殺は厳禁である


第1章3

・アントニオ司祭は、悪魔崇拝者だった。

・自殺した彼の足元には、悪魔像の割り符と遺書。

・セントロザリオ修道院で、その銅板と同じものを探せという命令が下る。

・セントロザリオ修道院で、奇跡調査官が亡くなったとの報告。《謎4》

・悪魔退散の方法をサウロ大司教に教わり、聖水を手渡される。

◇◇◇


はい。このような流れです。さて、《謎》というところに注目してください。

ここからの章でも、事件に関して続々と謎が出てくるので、

ここまでに出てきたいくつかの謎を、ネタバレしながら先に答え合わせしましょう。



◇◇◇


第1章までの謎解き

第1章で出てきたの謎の解説(ネタバレが嫌な方は飛ばしてください)


《謎1》アンナ・ドロレスの処女受胎

→ヒトラーの精子を使った、人工受精によるものだった。彼女の子供は堕胎させられることになる。


《謎2》幼いキリストを抱える聖母像

→水道管の故障により、外壁の聖母像が、内壁にカビとなってうつりこんだ。


《謎3》奇跡を認めるよう後押しする一派

→HEINRIDH福祉法人のこと。ナチスの機関。バチカンの権力者や、セントロザリオ修道院に多額の支援金。処女受胎を奇跡申請し、後押しした理由は、その奇跡によりHEINRIDH福祉法人のキリスト教徒に対する影響力を持つため。


《謎4》奇跡調査官の死

→奇跡調査のため、コウジカビの生えた壁を破壊したことで、気管支炎→心筋梗塞を起こす。


◇◇◇


理解しづらいところはありませんでしたか?

さて、それから、皆さんが気になっているかもしれない『舞台』について。


舞台は何処?

原作10pには『メキシコ中西部の街、ドゥランゴにある丘』とありますね。

ここで出てくる聖所が、セントロザリオ修道院だと直接は書かれていません。

しかし、林があって墓地があるという描写が出てきます。


それは105pに出てくるセントロザリオ修道院の周辺の特徴を捉えています。

しかし、セントロザリオ修道院はアメリカのド田舎にあることになっています。


果たして、舞台はメキシコなのか、アメリカなのか。

これは作者によるミスだと思われます。舞台はおそらくメキシコですね。


さて、それでは次の章に行きましょう。

ちなみにドゥランゴは↓ここです。


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