WORKS
さて、第3章の解説に行きましょう。
また大まかな流れをまとめてみました。
◇◇◇
第3章1
場所:図書館
・図書館で課題をするセバスチャン。マリオと勉強会を兼ねたお茶会をすることになる。
場所:マリオの部屋
・十字架で胸を突き、自殺したオルガン奏者が、夜中にオルガンを奏でるという噂。
・地下室に、規則を破って身ごもったマリアの子供が閉じ込められ、死んだ今も泣いているという噂。
・地下室に閉じ込められた赤ん坊は、黒ミサの生贄にされ、醜さゆえに閉じ込められたまま成長したという噂も。《謎1》
・マリオのスティグマータが始まり、血が出る。そこでお茶会は解散となった。
第3章2
場所:修道院までの道のり
・アメリカ(恐らくメキシコの間違い)に到着し、タクシーで移動するロベルトと平賀。
・タクシーで、運転手から、祖父がUFOを見たという話を聞く。《謎2》
・墓地との近くで、二人はパトカーを見つける。そこでは殺人事件が起こっており、セントロザリオ修道院の司祭たちが呼び出されていた。
・殺されていたのはクラウス神父だった。《謎3》
場所:セントロザリオ修道院
・亡きミハイル・ブラウン司祭と、ヨハネス神父が、第二次世界大戦後に、孤児院からセントロザリオを再建したという話を聞く。
場所:教会
・平賀たちは礼拝に出席し、マリア像が涙を流しているのを見る。《謎4》
《管理人が言いたいだけの豆知識》167ページの讃美歌は、312番で、結婚式などで日本でもよく歌われる讃美歌です。
第3章3
・マリア像の涙は、ただの水だった。涙を流した時、マリア像は二度以下に冷えていた。
・ヨハネス司祭が、ワーグナーのパルジファルを聞いている。
→原作には出てきませんが、ヒトラーがワーグナーの作品の中で、特に好きだったのは「パルジファル」です。さすが藤木稟先生、さりげないところも凝っています。
・アンナ・ドロレスの部屋の調査許可がでる。
・平賀の部屋が、ミハエル司祭の部屋だったことが分かる。
第3章4
場所:学生の食堂
・学生たちの間で、クラウス司祭の死の際、現場あった逆五芒星、そして紅白の蝋燭から、学生たちの降霊会に関係しているのかという疑惑が持ち上がる。
・降霊会で質問すると、ウィザードマスターを介して聖霊が答えるとされている。《謎5》
第3章5
・平賀は、中庭でトーマス・シメオンに会う。
・アンナ・ドロレスの部屋に行き、壁に浮き出たマリア像を見る。
・壁の調査で亡くなった奇跡調査官は、グレゴリウス神父《謎6》
・グレゴリウス神父の死因は黒カビによる気管支炎→心筋梗塞。これは下水管が壊れていたため、漏れた水により外壁のマリア像の形状に沿って内壁にカビができ、その黒カビを奇跡調査の際に大量に吸ったため。
・ドロティアという尼僧の部屋も、アンナ・ドロレスの隣の部屋であるため、カビが生えてるかチェックした。
・ドロティアの部屋には、動物的な匂いがした。《謎6》
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さて、流れは掴めましたか?第3章でも、6つの謎が出てきました。
下線部ですが、驚いたことにすでに第3章で、ヨハネスがナチス残党であったことが伺える記述があったんですね。
それでは謎の解説に行きましょう。
◇◇◇
《謎1》
地下室の唸り声→地下室では、大量の覚醒剤を作っていた。そしてナチスの残党が、会議室などにも使用していた。
《謎2》
UFOの正体→ナチス幹部が逃亡する際に使用した、LZ128という飛行船だった。
《謎3》
クラウス神父の殺人事件→クラウス神父は、トーマス神父によって、同性愛の罪(生徒のカルロスを、覚醒剤を使い姦淫していた)による裁きという名目で殺された。凶器は教会のマリア像。
《謎4》
マリア像の涙→クラウス神父は、マリア像で殺された。そしてガーゴイルの流水で血液を洗い流されたマリア像が、礼拝の蝋燭の炎により温められたことで結露したものが、涙に見えた。
《謎5》
降霊会とは→後に追加記入します。
《謎6》
ドロティアの部屋で、動物的な匂い→フランチェスコ司祭と、性交をした後であった。
◇◇◇
ここまでの謎はスッキリしましたか?
それでは第4章の解説でお待ちしています。
それでは、黒の学院の第二章の解説です。
前回と同じように、流れを確認しましょう。※ネタバレを多く含みます。
↓は修道院の写真です。
◇◇◇
第2章1
場所:セントロザリオ修道院
日付:クリスマス前夜
・セントロザリオ修道院の警備員であるジェームズが、生徒たちが秘密裏に儀式をしているのを発見する。→取り逃がす
・古めかしい納屋で『悪徳』《謎1》が行われているのを知りつつも、ジェームズは見てみぬふりをする。《謎2》
第2章2
場所:セントロザリオ修道院
日付:クリスマス前夜
・ジェームズは教会の祭壇で、床から50㎝ほど浮いている謎の物体を見る。《謎3》
・ジェームズの悲鳴に司祭が集まって来る。
・教会の祭壇には、マリオ・ロッテという生徒が、血塗れで倒れていた。
・司祭たちは、ジェームズの狂言ともいえる証言について、追求しなかった。
第2章3
場所:セントロザリオ修道院
日付:クリスマス前夜
・マリオ・ロッテが倒れていた傍に、血で書かれた十字架があった。《謎4》
・マリオ・ロッテにスティグマータ(信仰者に神から与えられる聖痕現象)が現われる。《謎5》
・ヨハネス司祭によって、十字架は消される。
・ジェームズはヨハネス司祭に呼び出され、見たものが何か話すように言われる。
・ジェームズはこの時に赤ワインを飲み、禁酒を破ったため、アル中が再発する。
第2章4
場所:セントロザリオ修道院
・セバスチャンという十五歳の少年が、セントロザリオ修道院に転入することになる。
・トーマス神父が登場し、挨拶する。
・セバスチャンが辺りを見て回っていると、納屋から生徒が飛び出してくる。中に入ろうとすると、殺すぞと脅される《謎6》
・飛び出してきた生徒は、副寮長のカルロス・ディエゴと分かる。
・アルベルトという生徒が、遠い血縁であると分かり、彼と行動を共にするよう誘われる。
・生徒たちがチームを組んで行動していることを知る。
・夜中に目を覚ますと、部屋の下で、黒いマスクをした生徒たちの影を見る。
◇◇◇
さて、流れと謎は整理できましたか?
バチカン奇跡調査官の面白さは、章ごとに沢山の謎が出てくることです。
こうして整理しなければ、正直かなり混乱してきますよね。
それではこの章の謎解きをしましょう。
◇◇◇
《謎1》
納屋の悪徳とは→クラウス神父がカルロスという生徒を、覚醒剤を使って夜這いしていたこと。
《謎2》
ジェームズが納屋での事を見てみぬフリをした理由→借金を抱えて職を転々としており、それを見たと言えば、職を失うリスクがあったから。
《謎3》
ジェームズが見たもの→トーマス・シメオンが、マリオ・ロッテの首を絞めていたところだった。前職の仕事中、事故を起こして脳を損傷したジェームズは、動くものが見えないという視覚障害を負っていた。よってトーマスが見えておらず、もがくマリオ・ロッテだけが見えていた。
《謎4》
十字架→十字架はルーン文字で書かれており、ヒトラーの我が闘争の一節だった。
《謎5》
マリオ・ロッテにスティグマータが出た理由→殺されかけたトラウマによる、PTSDの症状。
《謎6》
納屋から飛び出してきた生徒→納屋ではクラウス神父が、カルロスに対し姦淫していた。飛び出してきたのはカルロス、脅したのはクラウス神父。
◇◇◇
さて、2章まではスッキリしましたか?
それでは第3章にいきましょう。
早速、本文の解説をしていきます。第一巻は特に読みづらい巻ですので、
まず第一章からプロローグまでの流れをおさらいしましょう。
◇◇◇
プロローグ
プロローグ1
場所:平賀の家
・12月24日の大聖年を祝うため、バチカンのサンピエトロ大聖堂の周りは賑わっていた。
・大聖堂の近くにある平賀の家に、ロベルトは訪れる。
・バチカンが忙しいこの日、ロベルトは平賀を迎えに来たのだった。
プロローグ2
場所:メキシコ中西部の街、ドゥランゴの丘
・一人の使徒が、聖所を抜け出して墓地で泣いていた。
・その背後に誰かがやってきた。→使徒はそれを、聖所で祀られる主だと判断する。
・主は、信仰を忘れていることに罰を下すと告げる。
・主は、信仰に立ち返る機会を与えるとした。
・使途は、それを他言無用と告げられた
プロローグ3
場所:サンピエトロ大聖堂
・クリスマスに伴う、法王の祝福と説教
◇◇◇
第1章
第1章1
場所:平賀の家
・ロベルトが平賀の家を訪ねる。
・会話から、平賀の弟の良太が骨肉腫であることが判明。→シリーズで重要ポイント
・良太の治療費の支援をバチカンに求める(注釈1ルルドの奇跡)
・ロベルトから、サウロ大司教からの呼び出しを告げられる。
(注釈1)ルルドの奇跡
フランス南部のルルドという村に、聖母マリアが現われたという奇跡の逸話があり、そこに湧いた泉には難病を治癒する力があると言われる。
第1章2
場所:聖徒の座
・平賀の弟である良太の治療費を引き換えに、奇跡調査を依頼される。
・アンナ・ドロレスという修道女からの申請《謎1》
・奇跡の内容は、部屋の壁に、幼いキリストを抱える聖母像が浮かんだとも。《謎2》
・カトリック教会では、処女受胎は認めてはならない。(キリスト=救い主はイエスのみとする考えのため)
・この奇跡を認めるよう後押しする一派がいる。《謎3》
・列聖省長官のニコラス枢機卿は、今回の奇跡調査に、パウロ大司教を失脚させるような秘密がありとし、平賀に探らせたかった。
・パウロ大司教は金満体質で、ドミニコ会を腐敗させた人間の一人ともされており、このまま順当に出世することを、ニコラス枢機卿は警戒していた。
・パウロ大司教が見込みをもって昇進させた、アントニウス司祭が自殺していた。→カトリックでは自殺は厳禁である
第1章3
・アントニオ司祭は、悪魔崇拝者だった。
・自殺した彼の足元には、悪魔像の割り符と遺書。
・セントロザリオ修道院で、その銅板と同じものを探せという命令が下る。
・セントロザリオ修道院で、奇跡調査官が亡くなったとの報告。《謎4》
・悪魔退散の方法をサウロ大司教に教わり、聖水を手渡される。
◇◇◇
はい。このような流れです。さて、《謎》というところに注目してください。
ここからの章でも、事件に関して続々と謎が出てくるので、
ここまでに出てきたいくつかの謎を、ネタバレしながら先に答え合わせしましょう。
◇◇◇
第1章までの謎解き
第1章で出てきたの謎の解説(ネタバレが嫌な方は飛ばしてください)
《謎1》アンナ・ドロレスの処女受胎
→ヒトラーの精子を使った、人工受精によるものだった。彼女の子供は堕胎させられることになる。
《謎2》幼いキリストを抱える聖母像
→水道管の故障により、外壁の聖母像が、内壁にカビとなってうつりこんだ。
《謎3》奇跡を認めるよう後押しする一派
→HEINRIDH福祉法人のこと。ナチスの機関。バチカンの権力者や、セントロザリオ修道院に多額の支援金。処女受胎を奇跡申請し、後押しした理由は、その奇跡によりHEINRIDH福祉法人のキリスト教徒に対する影響力を持つため。
《謎4》奇跡調査官の死
→奇跡調査のため、コウジカビの生えた壁を破壊したことで、気管支炎→心筋梗塞を起こす。
◇◇◇
理解しづらいところはありませんでしたか?
さて、それから、皆さんが気になっているかもしれない『舞台』について。
舞台は何処?
原作10pには『メキシコ中西部の街、ドゥランゴにある丘』とありますね。
ここで出てくる聖所が、セントロザリオ修道院だと直接は書かれていません。
しかし、林があって墓地があるという描写が出てきます。
それは105pに出てくるセントロザリオ修道院の周辺の特徴を捉えています。
しかし、セントロザリオ修道院はアメリカのド田舎にあることになっています。
果たして、舞台はメキシコなのか、アメリカなのか。
これは作者によるミスだと思われます。舞台はおそらくメキシコですね。
さて、それでは次の章に行きましょう。
ちなみにドゥランゴは↓ここです。
黒の学院のあらすじ
平賀とロベルトは、『聖徒の座』に所属する奇跡調査官である。
平賀は骨肉腫である弟の治療費のため、バチカンの陰謀が渦巻いでいる
セントロザリオ修道院に、相棒ロベルトと奇跡調査として乗り込むことになる。
登場人物
バチカン
▽平賀・ヨゼフ・庚
二十四歳の日本人。黒髪でアーモンド形の瞳が特徴。少女と見紛うほどの美形。父親が日系人。母親は乳癌で死亡しており、弟は骨肉腫である。ハイスクールまではアメリカで育ち、その後はドイツで生活していた。奇跡調査官では唯一、奇跡という結論を出していない。
▽ロベルト・ニコラス・プッチーニ
古文書と暗号解読が専門。多くの言語を話すことができるため、平賀のために通訳することもある。
▽サウロ大司教
初老の司教。ロベルトはサウロ大司教の直弟子である。
セントロザリオ修道院職員
▽ジェームズ
警備員。アル中で職を転々としており、借金も抱えている。セントロザリオにきて四ヶ月になる。
▽ヨハネス司祭
年齢は七十代、白銀の短髪。セントロザリオ学院の校長兼理事長。ナチスの残党。
▽トーマス神父
学園で一番若い神父。菜園室の管理をしている。美術クラブの管理をしている。メアリ・ブラウンが、ヒトラーの精子と人工授精してできた子。
▽アンナ・ドロレス
処女受胎という奇跡を起こしたとされた女性。実際は、ヒトラーのクローンを受胎させられていた。
▽メアリ・ブラウン
人工授精によって、ヒトラーの子供を受胎させられ、のちに双頭の子供とトーマス神父を産む。
セントロザリオ学院の生徒
▽セバスチャン
十五歳。両親は離婚し、マリア・ブラッセという有名な女優である母親に引き取られる。母親に恋人ができたことを機に、追い出されるようにセントロザリオ学院の寮に入れられる。養父がセントロザリオ学院出身。自殺を夢想する、内気な少年。
▽マリオ・ロッテ
セントロザリオ学院の生徒会長であり、寮長。スウェーデンの貴族の家系で、北欧の血を引く神秘的な美少年。優秀な生徒で信頼が厚く、ホワイト・プリンスと呼ばれている。
▽カルロス・ディエゴ
セントロザリオ学院の副寮長。黒髪で黒い瞳のスペイン系。覚醒剤によって、クラウス神父に姦淫され続けていた。
団体解説
▽聖徒の座
バチカン中央行政機構の『九つの聖省』のうちの一つ、『列聖省』に所属している。奇跡調査を厳密に行い、18人の枢機卿からなる『奇跡調査委員会』にレポートを提出する部署。
実際にあるの?→列福、列聖や聖遺物崇敬などを扱う列聖調査聖省は存在する。各聖省の長官は枢機卿が務める。日本では二十六名が聖人として認定された。
▽セントロザリオ修道院
修道院、尼僧院、養育施設を併せ持つ、カトリックの修道院。実際は、ナチスのための子供たちを教育する洗脳機関。山奥にあり、巨大な鉄格子と高い塀によって囲まれている。建物構造はH型になっており、
尼僧院 修道院
教会
後頭部 中等部
というように並んでいる。教会の裏にはグラウンドがある。
イタリア人建築家であるロモロ・ガレアッシが一五四八年に建てた。